暮らしをアートに変える、都心居住スタイル

近藤さん： 「まだ、どのような空間にするか方向性が決まっていないころ、買い付け先で出会ったダイニングテーブルにひと目惚れをしたんです。数ある家具のなかにいても自然と目を向けてしまう惹き付ける魅力があって美術品のように輝いていて、このテーブルを中心に空間をつくりたいと思ったんです。」

一目惚れしたというガラス天板のダイニングテーブルは男性5人がかりで搬入したという大物。ほかにも革張りのチェア、アイアンシェードのランプ、大理石のサイドテーブルなど、存在感のあるアンティーク調の家具たちが、内装工事が進むラウンジ所狭しと並べられている。

近藤さん： 「ラウンジは、ギャラリーのような白を基調としたシンプルな仕上げを予定しています。そして、テーブルやチェアをうんと並べるつもりなんです。テーブルだけじゃなく、チェアもランプもソファも、ふと目に留まるような魅力的な家具たちが集めました。家具のひとつひとつが美術作品のように気持ちを惹き付けるような存在になればなと。」

日中は窓に映った庭の木々の緑が、色味の押さえたラウンジによく映える。夜は電球の暖かい明かりが、アンティーク調の家具の魅力をいっそう掻き立てそうだ。

近藤さん： 「“人と家具”というテーマには、家具が放つ味わいや魅力に惹かれた人たちが集まり、新しいライフスタイルや価値観を生み出してほしい、という想いを込めています。そして、おそらく業種や世代や性別ではくくることのできない、様々な人が集まる家になるだろうと思い描いています。」

インテリアに興味のある人たちにとっては、クランテラス溝の口は刺激的な空間になると思う。存在感を放つダイニングテーブルとの出会いがアンティークへの興味を目覚めさせるかもしれないし、テーブルマナーを見直そうという思いを芽生えさせるかもしれない。ラウンジの空間に魅せられてアートに夢中になる人も現れるかもしれない。

近藤さん： 「テーマはルールではなく、実際に暮らしのなかでは“こうしないといけない”という決まりはありません。ぼんやりとした空気のようなものなんです。私たちは、自社で設計から運営・管理まで行っているので、場の流れを感じながら状況の判断ができます。クランテラス久が原がそうだったように、ここでも思いもしなかったような出来事やライフスタイルが生まれるだろうと思っています。」