多摩川リバーサイドのデイリーな魅力とは?
シェアプレイス田園調布南 先行内覧会開催
開催日程:2011年2月20日(日)? →お問合せ
リバーサイド・エリアには、デイリーな魅力に溢れている
東京で暮らしていれば、多摩川土手を目にしたことがない人は少ないはず。でも、そこで何をするかと聞かれたら、どう答えるだろうか。BBQ?野球?サッカー?花火大会・・? “リバサイ・プロジェクト”を提唱する内山章氏は、イベントよりも暮らしの中でデイリーに接する感覚こそ、リバーサイドの1番の魅力だと言う。
リバサイ・プロジェクトを主宰するスタジオA建築設計事務所の内山章氏に、多摩川リバーサイドを案内してもらった。
まずはスタジオA建築設計事務所とリバサイ・プロジェクトについて、簡単にご説明いただけますか。
内山 スタジオAは基本的には戸建て住宅や共同住宅、商業系では店舗、飲食店などをやっていて、去年頃からリノベーションも手がけています。で、今は神宮前ですが、2011年の4月ぐらいまでにリバサイ(リバーサイド・エリア)に拠点を移す予定です。実は自宅が多摩川沿いの古いマンションで、毎朝窓から川を見て1日が始まる生活なんですよ。
それで今、始めようとしている"リバサイ・プロジェクト"というのは、簡単に言うと川を使った地域活性化のプロジェクト。東京のリバサイ・エリアは今まで積極的に本来の良さが見出されてこなかった部分があるから、もう少しそこをきちんとしようというものです。
ちなみに今回のシェアプレイスの物件がスタジオAの設計というわけではないので、そこは誤解のないように(笑)
わかりました(笑)。大田区の多摩川リバーサイドには、どんな特色があるんでしょうか?
内山 多摩川の場合、渋谷駅から多摩川駅間が16分ですから、都心からとても近い。で、それだけ近いのに、これだけの自然資源が入り込んでいる。そういった意味での利便性はすごく大きいと思います。
このあたりは川と街の間に車道がないんですよ。街から横断歩道を渡らないでそのまま川にアクセスできるというのは実はすごく大きいんですが、こういう地域は多摩川沿岸の中でも限られてるんです。堤防が土に近い作り方になっていて、川と街の間に緑がたくさんあるところも魅力的だと思いますね。
それに、まあよく「おひとりさまコミュニティ」と言ってるんですが、自分たちの日常の中でのもうひとつの居場所としての機能もありますよね。
暖かい時間帯のリバーサイドには、とにかく行き交う人が多い。
ゴルフの打ちっぱなし場は、夜になると地元住人の集うドッグ・ランへと変身する。
地域のサードプレイスとしてのリバーサイド
「おひとりさまコミュニティ」って、何ですか?
内山 僕が勝手に言ってるだけなんですけど、川の場合はひとりでいても、ひとりぼっち感がすごく少ない割にプライベート感が高い。とにかく広くて、みんながそれぞれ自分たちの好きなことを好きなようにやっているから、ひとりで本を読んだり、ぼーっとしたりというような過ごし方をしやすい。
それで、その人達同士は直接交流を持ってるわけではないけれど、自分がそこにいる時に、例えば遠くの方にひとりで本を読んでる人たちがいる。ぼーっとしている人たちがいる。そういう光景があることで、それはそれでお互いに、どこか「ここにいていいんだな」という合図にもなっていると思うんですよね。そういう感じを「おひとりさまコミュニティ」と呼んでいて。
土手と街の間に道路が通っていないエリアは貴重だという。
ということで、街の猫達も川原に出てきやすいよう。
そんな猫達と子供たちが触れ合う姿も。
ある時、川沿いを散歩していたら自転車に乗った若い女の子が僕の脇をすっとすり抜けて、川原に自転車をボンと無造作に置いて、いきなり座りこんで川に向かってじっとしてるんです。それで何してんのかなと思って見たら、ひたすら携帯でメールを打ってる。とことんずっと、もう身動きしないでメールを打ってて。それは、たぶん彼女にとってはそこがサードプレイス(※)だっていうことだと思うんです。人がいっぱい周りにいるけど、そこにひとりでいられる。ひとりになれる、なりたい時に来れる場所。それはすごく貴重な空間だなあと。
※サードプレイス …… 自宅と職場や学校以外の、もうひとつの居場所
それぞれが、思い思いの過ごし方をするリバサイの日常。
もちろん家族連れも。
うーん、なるほど。
内山 それから別の女性ですけど、普通に自転車に乗って、犬を連れて、缶ビールと雑誌が入ったコンビニの袋を下げて、どかっと土手に座って、雑誌を読みながら、がんがんビールを飲んでる。もう、ひたすら飲んでると(笑)。横には犬がいて。たぶん1時間とか2時間とか平気でいるんでしょうね。そうやって過ごす感じは、今みんなが使っているカフェの使い方に、すごく近いなあと思います。
カップルなんかもコンビニでお弁当とお茶を買って、土手に座って2時間3時間、ただしゃべって帰ったりしてる。たぶん、それだけでスペシャルな週末にちゃんとなってるんだろうなって。友人同士でビール開けてみたいな人たちもいて、女の子同士でつまみも買ってきて2人でずっと語り合ってたりとか。でも、そんなことしてても、誰も気に留めない。
それは、やっぱり広いからなんでしょうかね。もう単純に。
内山 やっぱり空間資源が圧倒的に豊富だから多様な使われ方が同時に成り立つんでしょうね。リバサイで過ごす感じは、最近のお金を使わないで過ごすやり方、消費の中で満足感があるのじゃなくて、むしろなるべく消費はしたくないという感覚が共有されてきている部分と、すごくフィットするなぁと僕は思ってます。
でも、住んだことのない人に「多摩川でなにやる?」って言った時に、割と出てくるものは少ないんですよ。バーベキューとか、草野球とか、サッカーとか、そういったイベント的なことばかりで。でも本当は、ぶらぶら散歩したり、ほんとにちょっと本読んでたりとか、そういうデイリーな部分でのウエイトの方がすごく多い。実際に川の近くに住んで接する時のこの「デイリー感」みたいなのって意外と理解されてないんですが、本当はそういう日常的な部分こそがリバサイの1番の魅力だと思います。
対岸には巨大なタワーマンションやオフィスビル群が立ち並ぶ。
こんな具合に、街の中からいきなり川の方へ上がっていける。
地域の人々にとっての、ある種のコミュニティ・ハブみたいなものとして機能している側面もありそうですね。
内山 同じ趣味を持った人たちのちょっとした集まりも普通にあるし、待ち合わせで川に行って過ごすだけ、というのもありますよね。本当に膨大な空間がありますから、人が集まったりだとか出会ったりだとか、何かをするという場面では、すごくやりやすい。
僕のマンションのすぐ近くにあるゴルフの打ちっぱなし場は夕方5時に閉まって、その後はドッグランとして開放されてるんです。田園調布のなんとかハウンドみたいな大きな犬から、柴犬や小さいチワワが毎晩20匹とか集まって毎晩遊び倒している。たぶん飼い主同士には「ポチのお母さん」みたいな呼び名があって、毎晩たわいもない話をして帰っていくんだと思うんですよ。
それは彼らにとっては家でもないし、隣近所でもないし、家族でもないし、ましてや職場の関係の人たちでもない。そこにしかない、そこでしか知り合えない人たち、出会いがちゃんとあって、コミュニティとして成立してる。「だれだれさん、今日来てないねー」みたいなのも当然あると思う。そういうことが日々リバサイで起こっているということも、まだまだ知られていないんですよね。
お散歩デート。
初々しいカップルの姿は定番。でも、意外と少ない。
リバサイ・プロジェクトって、何だ?
それでは、内山さんが提唱されているリバサイ・プロジェクトについてうかがえますか。
内山 大田区にはずっと「ものづくりの街」というアイデンティティがあったんですね。でも今はそれが時代的に衰退してきて、その先にある地域の未来を誰もがイメージしづらい状況があると思うんです。それをなんとかしたいと考えていて。そうした時に、こんなに素晴らしい川と自然の環境があって、それを使いこなしてみんな生活をしているのに、自分たちの生活の中に色濃くあるそれを、きちっと見せることをしてきてないというのに、すごく違和感を感じたんですよ。だから、何らかの形でそれを見せるという部分ができれば、地域活性化のひとつのフックになれるんじゃないかと。
それに衰退してるといっても、結局「ものづくりの街」っていうのは単純に言うとクリエイティブということで、例えばデザインやアートといったことをやるにも、土壌として、DNAとして良いモノを持っていると思っています。今後そういう部分が活きるようになっていけば良いですよね。
自身も沼部の川沿いのマンションに住んでいる内山氏。
とにかく巨大な空間資源が、都心のすぐ近くで手に入る。
ちなみにリバサイ・プロジェクトは、今、どういう段階なんでしょうか。
内山 まだまだ枠組み作りの段階で、地域ともっともっといっぱい繋がって、一緒にやれる準備段階をしてるっていうところですね。今後は例えば今までなかったやり方で、川原の新しい使われ方を、今まで見てた草野球だったり釣りだったりというのとまた違った風景を作っていきたい。そういう新しい風景を見せることで同時に、デイリーな部分も伝えていけるんじゃないかと。
それから例えば工場の跡地のような空間を、普通の不動産屋さんでは見出しづらい建築の目線から見た利用の仕方でリノベーションしていくようなこともやりたい。新しくこの地域の魅力に気付いてくれた人たちの受け皿のような空間を用意していくようなこともできればと考えています。
リバサイ・プロジェクトの目標としては、結果としてどういう状態が生まれれば理想なんでしょうか?
川まで徒歩30秒。多摩川駅すぐそばにあるカフェバー『delight』
内山 「ああ、こういうの大好きだったんだよね」と自然に思える人たちに来てもらえるようになる、というのが一番の目標かな。
実は今、放っておくと工場だった建物がどんどん潰されてミニ開発の波に飲まれて、あっという間にペンシルハウスばかり建ってということになりそうな予感もある。だから地域の特色を消すような方向に進まないように、街がもともと持っている建物なんかを有効活用できるようにしたいなあと。
いわゆる再開発のようなことをしようというのではないと。
内山ないですよね。でも実際に、まあほんとにちょっとずつですけれども、流れは出てきてるんですよ。
商店街の空いたところに、もともと茨城で天然酵母のパンを売ってたお店が、突然、そっち畳んで多摩川線の鵜の木にぽこっと出てきたり、ディライトっていうフィッシュ・アンド・チップスが絶品のカフェバーが多摩川駅のすぐ近くにできたりとか。オールライト工房っていうグラフィックデザインの工房なんかは、活版印刷の技術を再生したりもしているんですよ。
だから、慌てないでじっくりでも充分に育っていける場所だと、勝手に僕は思ってて。今後どんどん好きな人が増えていく場所だと思ってるし。やっぱり気分転換に川を見に行けるとか、春先はあったかいから昼飯は弁当買って川原で食べるとか、色々あっても今日、夕日きれいだからいっか、みたいなのもあるし(笑)。
渋谷から電車で16,7分の場所でこの環境は、やっぱりほんとに貴重で。特にこの空の広さなんて、もう誰も文句つけがたいよね。この空を嫌だっていう人はたぶん、いないんじゃないかな。
うーん、そうかもしれないですね。
大田区側から多摩川土手を見ると、広大な空と高層であるはずの対岸のビル群がこじんまりと目に入る。背の高い建物に視界を遮られがちな東京で、この圧倒的な大空間は確かに貴重だろう。この爽快な大空間を自分なりに使いこなして日常を楽しむことこそが、多摩川リバーサイド・ライフの魅力かもしれない。
着々とリノベーション工事が進む“シェアプレイス田園調布南”のオープンは、2011年3月中旬頃を予定しています。東京リバーサイドの新たなポテンシャルを開拓することになるかもしれないこの新空間を、誰よりも早く見学したい!申し込みたい!という方は、2011年2月20日(日)?先行内覧会が開催されるので、ぜひお問合せをどうぞ!