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「垢抜けましょう、両国で。」
ところは、両国。
言わずもがな、国技館のある下町の香りが漂う街です。
通りを歩けば、下駄をカランコロンと鳴らして闊歩する力士達や、着物姿の人々の姿を見かけることも。ノスタルジックを飛び越え、タイムスリップしたような感覚を、ほのかに感じる日常の風景。
そんな街に身をおくうち、いわゆる”粋(いき)”という感覚もわかるような気がしてくるから不思議です。
さて、今回のシェアハウス探検隊は「バウハウス 両国」。
いわゆる日本家屋の空間を独自の解釈で再構築した(と、言っても良さそうな)、新感覚の和の味わいが何とも面白いシェアハウスです。
と言っても、もとは風呂なしの古アパートだったそう。
別棟のガレージを和風のリビングに改修したほか、バスルームやテラスも新設。既設の住居棟も間取りはそのままでリノベーションが施され、味わい深い空間に仕上がっています。
そのニュアンスを、ひとことで言えば「新感覚の和室」。
日本庭園、千本格子、掛け軸などの和風の意匠を引き立てる、シャンデリアやダイニングチェアなどの洋風のアイテム。不思議なバランス感覚のなかに、しっかりと独特の「和」の佇まいが息づいています。
たしかな審美眼で、現代の暮らしにあった姿に組み立てなおされた和の空間。これが、どこか“粋(いき)”に通じる洗練された格好良さを感じさせるのです。
こんな佇まいを、きっと「垢抜けている」と言うのでしょう。
ところで、この「垢抜ける」という表現。
その由来のひとつに、「江戸っ子の風呂好き」があると言います。
しょっちゅう砂ぼこりが舞っていた江戸の街では、1日に何度も砂まみれになる江戸っ子たちが、その度に銭湯に通ったのだそうです。なんと、毎日4-5回という人も珍しくなかったんですって。
風呂に入りすぎて肌から油分が抜け気味になった様子から、「垢抜ける」なんて表現がはじまったそうです。
バウハウス 両国では、専有部からバスルームまで桶を抱えて外廊下を移動するのですが、ちょっとした銭湯通いだと思えば粋な江戸っ子を気取れようというもの。
ここはひとつ、垢抜けましょう、両国で。
最寄り駅の都営大江戸線・両国駅からは、清澄通りから蔵前橋通りへ見通しの良い道のりを歩きます。
途中には大きめの公園があったり、ボリュームたっぷりのランチを出す昔ながらの喫茶店があったりと、すこしノスタルジックで愛嬌のある風景です。
蔵前橋通りから一本奥まった小路にならぶ住宅のひとつ、真っ白の壁とレトロな板張りの外観が特徴の建物が「バウハウス 両国」です。
目を惹く白い壁の下は、自転車置場とのこと。玄関は向かって左手の門扉の先にあります。
門扉を開けると、飛び石が並んだ奥ゆかしいアプローチが目の前に現れます。
夜になると、ラウンジの明かりがほんわりとアプローチを照らし、料亭のようなムードを漂わせるのだそうです。
建物は共用棟と居住棟の2棟構成。手前はラウンジのある共用棟、奥が部屋のならぶ居住棟です。
ラウンジの玄関は、アプローチを奥まで進みまわり込んだ先にあります。
玄関扉は磨りガラスの引き戸。敷地内に面していることもあり、プライバシーは守られています。
扉を開けるとき、ガラガラと鳴る音に、ほっと気持ちが緩みます。
それでは、ラウンジへ足を踏み入れます。
中央の掛け軸、隅に置かれた火鉢、随所に置かれた花器。天井も、欄間も、家具や照明にいたる隅々まで、和の意匠を意識した空間です。
掛け軸が掛けられた壁の位置、天井と照明の組み合わせ、千本格子の窓の設えなど、どれを取っても和風でありながら、独特の解釈を感じさせる新鮮な組み合わせ。
実際に手前側に置かれたテーブルに腰をおろしてみると、暮らしの動線や視線の向きにも気が配られた、ずいぶんと緻密な計算を感じます。
電球色の照明と相まって温かい空間を作り出す、フローリングの床。低座椅子が、和風の空間と洋風のフローリングのあいだを、つなぎ役となって取り持ちます。
洋風なのに、どこか日本らしさを感じさせる照明も絶妙な佇まい。
旅館やクラシックなホテルで見かけるような、重みのあるオーラを放っています。
掛け軸が掛けられた壁の位置もまた、絶妙。
のんびり低座椅子に腰かけてあたりを見渡しても、バタバタしがちなキッチンの作業場は、掛け軸の壁が隠してくれます。一方で、和気あいあいとした雰囲気は相互にきちんと伝わります。
遠くで聞こえる誰かの気配や話し声は、ときに心を落ち着かせるもの。
花器には、庭で育ったという梅の枝が飾られていました。
こういったささやかな心づかいも、この家らしさと言えそうです。
ダイニングは、L字の大きなキッチンに囲まれています。
一枚板の天板が存在感のあるダイニングテーブルをはじめ、ダイニングチェアや照明は、長い付き合いだという目黒の家具屋さんから仕入れたそう。
ほのかに異国の香りを漂わせながらも、どこか和に落ち着く不思議な統一感。もしかすると、それはこの家具屋さんの審美眼と空間の独特のセンスが組み合わさって生まれているのかもしれません。
掛け軸が掛けられていた黒い壁_の_裏には、テレビがすっぽり収まっています。
反対側にいたときは気づかなかったテレビの存在。実際のところ、この空間にテレビのルックスはすこしミスマッチという気もします。ブラウン管ならすこし違うのでしょうが、現在では少々難しいところ。
それでも、こうしてテレビを設置しているのは好印象です。
シェアハウスの共用部とテレビは、相性がいいと思うのです。テレビをなんとなく見ている時間が、入居者同士を引き合わせるキッカケになります。なにかと話題のネタも提供してくれますしね。
ダイニングを囲むように設計されたキッチンは、まるで料理店の厨房のような仕上がり。
IHコンロは3口、足元の大きな冷蔵庫は業務用のものだそう。作業スペースをかなり広めにとったことで、2-3名であれば同時に調理をしても混雑しないかと。
ちょうど胸あたりの高さに設けられた棚には、和食器がずらりと並んでいます。
大皿、小皿、どんぶり、お椀、大鉢、小鉢。
さまざまな和食器が並んだ光景は、なかなか迫力があります。
これらの食器も、目黒の家具屋さんで仕入れたものなのだそう。よく見ると、同じ柄でも1点1点微妙に異なります。
さまざまな柄、大きさ、カタチの器が、よりどりみどり。日頃から料理を作っている人ほど、この有り難みがわかるはず。
ただ料理を作るだけでなく、「あの器に、この料理を盛ってみよう」、「この前はこの器に盛ったけど、今度はあの器に盛ってみよう」と、意欲がどんどん湧いてきそうです。
自然と、和食を作る機会も増えてきそうですね。
そして、意外と和食器は万能です。
パスタやハンバーグ、サンドイッチなどの洋食も、きっと美味しそうに演出してくれるはず。
続いて、水まわりの設備を見ていきます。
バスルームは、共用棟と居住棟の間の、廊下沿いにあります。
靴をはいて移動する必要があるので、いわゆる「離れ」に移動するような感覚。
ドアを開けると、木の香りがする脱衣室へ。バスルームは奥にあります。
バスルームは、壁も天井もタイル張り。
白と黒のツートーンカラーがノスタルジックであると同時に、モダンでもあります。
しっかりと洗い場が確保されたゆとりのある浴室は、広さに加えて天井もかなり高め。3m近くあるように思えます。
浴槽につかって天井を見上げれば、きっと極楽気分になるはず。マンガなどでよく見る銭湯のカポーンという不思議な擬音が、どこからか聞こえてきそうです。
脱衣室と浴室の間のドアも、このルックス。
バスルームのとなりには、シャワールームも設置されています。
シャワールーム内はバスルームと同じく、ツートーンカラーのタイル仕上げ。
タイルのおかげで、シャワールームも贅沢な空間に見えるから不思議です。
住居棟は、2階建ての古アパートの面影を色濃く残しています。
とくに廊下は、かつての雰囲気がそのまま残っているといっても過言ではないはず。
玄関ドアの無機質な佇まいや、ほの暗い廊下、壁に設置された電装盤などは、好きな人にはたまらない雰囲気。もちろん、好き嫌いがキッパリと分かれるところとは思いますが。
一方で、大幅に手が加えられたスペースもあります。
それが、共用棟の天井を活用したデッキテラス。
居住棟の廊下から直接出ることのできるテラスは、まるで下町のエアポケット。ガランとしていますが、ハンモックやテーブル、チェアなどを置けば、街並みとの独特のミスマッチが癖になるリフレッシュ空間ができ上がりそうです。
廊下の突き当りには、水回りの設備が設けられています。
トイレはウォシュレットつき。すぐ脇にはランドリーがあります。
洗濯機は各フロアに1台ずつ。乾燥機の設置はありません。
それでは、専有部を見ていきます。
まずは、デッキテラスに最も近い201号室。
アパートということで、各部屋に玄関があります。
「いかにも」な洗い出しの土間の佇まいが、個人的にはかなり好印象。
居間は6畳ほどの空間です。
和室として使われていた部屋には、新たにフローリングが敷かれています。
一見、古くて味のある空間に見えますが、実のところ床はもちろん、壁も柱もまるっと修繕しているそう。“古きよき味わい”は、エッセンスだけ残したとか。
一間分の押入れ収納も嬉しいポイント。天袋収納まで含めると、季節家電などもスマートに収まるのではないかと思います。
玄関まわりのスペースはこんな感じ。正面に鏡付きの洗面台があります。
テーブルや椅子を置くには厳しい空間ですが、棚を置いて収納スペースとして使ったり、趣味のものを飾るディスプレイスペースとして使ったり。意外と多用途に活用できる空間ではないかと思います。
続いては、おとなりの202号室。
広さは201号室よりも若干コンパクトですが、玄関と居間に一体感があって開放的です。
2Fはどの部屋も、船底天井になっています。
船底天井のおもむろな屋根アピールは、個人的にはキュートだと思うんです。
中央に向けて気持ち程度に勾配が付いていて、少しばかり開放感も生まれているかもしれません。
建具には走り書きが残されています。
以前の入居者さんが書いたものなのか、職人さんのメモなのか。
玄関まわりはこんな感じ。
洗面台まわりは、タイル床、天袋収納、鏡と、なにげに便利そうです。
105号室は、廊下の突き当たり。
一番コンパクトな間取りの部屋ですが、広さは8畳。ベッドや机を置いても結構余裕があります。
各部屋には、机と椅子が置かれています。
部屋ごとに、すこしずつ表情が異なる家具たち。
どれも歴史を感じさせるものの、きっと丁寧に扱われてきたものたち。深い飴色になって角の取れた家具は、すぐ肌に馴染みそうです。
玄関まわりの洗面スペースはこんな感じ。
ほどよい篭もり感は、歯を磨いている背中がよく似合いそう。
都営大江戸線・両国駅までは、シェアハウスから徒歩7分ほど。JR総武線・両国駅だと徒歩10分ほどです。
大江戸線を使えば、六本木駅まで乗り換えいらずで24分ほど。少々クセのある大江戸線ですが、使いこなせば都心へのアクセスも快適になりそうです。JR総武線・両国駅を使えば、秋葉原駅まで4分、新宿駅までおよそ23分。千葉方面へのアクセスだと、市川駅まで16分ほどです。
カフェより喫茶店、チェーン店より個人経営の飲食店が目につく、両国の街並み。住むほどに愛着が湧き、探索するほどに新しい発見がありそうです。
一方で、清澄通り、蔵前橋通りは、ビルやマンションが立ち並んでいます。コンビニや生活雑貨店も点在しているので、快適に暮らせる環境が整っているかと。
運営・管理は「株式会社大関商品研究所」さんです。
毎度、新しい世界を見せてくれるバウハウス・シリーズ。
今回は、バウハウス横浜の自由奔放さやバウハウス 西麻布の異国感とは異なる、ちょっぴりクレバーな一面を見せてもらった気がします。まさか、馴染みのあるはずの和テイストの空間で、新しい扉を開けるような感覚に触れることになるなんて。
管理の面では、割と「住人さんが自主的にいろいろやってね」というスタンス。効率よく運営・管理が行われるモダンな物件に比べると多少の面倒臭さはありそうですが、その手間ひまにこそ、暮らしの味わいを感じる向きも少なくないはず。
「すこし手間ひまをかけて、じっくり暮らしを味わいたい。」
そんな思いがあるなら、一見の価値あり。
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小話をひとつ。
江戸時代から、赤色は女性にとってお洒落な色だったとか。ところが、本当に洒落た人ほど赤色の着物をまとわず、むしろ、なるべく控えていたのだそうです。
そんな人が、ここぞという時にちらりとコーディネートに織り交ぜる赤。これこそ、なによりの“粋(いき)”とされたのだそうです。
洒落ている人ほど、「赤抜けた人」。
すなわち「垢抜けた人」ということなのですね。
(イシクラ)
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