シェアハウス専門ポータルサイトのスタッフによる、シェア生活を楽しむための探検レポートブログ。東京、神奈川、千葉、埼玉、 そして全国各地のシェア賃貸住居をひたすら探検する専門ポータルサイトの隊員達。明日はあなたの物件へ・・・!?
昭和の玉手箱を、どんな風にあけるか?問題。
昭和の建物に、違和感なく堂々となじむ現代の品々を見るのは嬉しいもの。
ひとたび塩梅を間違えると、ちぐはぐになって「不便なところはあるけど、折角古く良いものなので我慢して使おうか・・・」なんて逃げ腰の向き合い方になってしまう、難しいアプローチだからでしょうか。
しかし基本的には、昭和の家は、そんなに懐が小さくはないと思うのです。近代のものが上がり込んでも、大黒柱はデンとしているというような。
加えて、昭和の面影を残す建物に住む上で「快適であること」もまた、現代では実に大切だと思います。
そして、そうした視点で読み解きながら見ていくと、今回はなんとも手応えのある面白い家なんです。
平和島の駅を降り、古いお店や住居が残る閑静な住宅街を直進すること数分。
朱色の窓枠が印象的なシェアハウスが姿を現します。元々は事業者さんのお父様が、昭和33年にアパートとして建てたものだそうです。
住まいの手前側は事業者さんが暮らしており、奥へ進むと
右手にシェアハウスの玄関の扉が見えます。
朱色の枠な扉に、すこし鳥居を思い出しました。
鳥居は神域への入口と言います。
ともすれば、このシェアハウスの名が龍宮城であることと関係がありそうなのですが、別のロマンチックな由来があるため、それは後ほど。
さて、奥まった部分にある玄関ですが、庇(ひさし)に電球が点いています。
夜間にナンバー式の鍵を押すとき、携帯電話で手元を光らせたりしないで済むわけです。
ドアを開けると、なんだかめぞん一刻の「一刻館」を思い浮かべてしまう玄関。
ここだけを見ると、タイムスリップしてきたかのようです。昭和の時代のものたちが、色褪せながらもなお堂々としているような。床も下駄箱も全てが当時のままだそうです。
銭湯にでもありそうな、下駄箱というよりは下足入れ。
足元にはすのこが敷かれ、靴を脱いだ後に足元が汚れる心配はありません。
下駄箱の扉の金物は当時から付いていたそう。はっきりとした用途は不明ながら、どうも以前は新聞が入れられていたっぽいのです。しかしこのサイズ、スリッパを入れるのにちょうど良いような気もします。
天井を見上げると、ここも当時のまま。
そして左手に見えるドアは事業者さん曰く、秘密の出入り口。
事業者さんの住居との連絡通路とのことで、アパートの時代には、入居者さんとここを通じて家賃の受け渡しなどがあったとか。
下駄箱の正面には傘立て。
金具を開いた部分に傘をさして固定するタイプ。こちらも、アパート時代からのものが、そのまま残っています。
専有部の数ぴったりには無いため、要相談で。
1Fは水まわり設備と専有部になっており、リビング・キッチンは階段を上がった先の2Fになります。
階段は広めにつくられていて、昇りと降りですれ違っても大丈夫そうです。
2Fへ上がった先には廊下が拡がります。
龍宮城のサインがガラスに飾られた部屋のなかが、リビング。
今回の家の、醍醐味と言える空間です。
昭和の面影を楽しみつつ、近代的なものたちをどんな塩梅で入れるのか?
馴染みすぎてはつまらない、とは言え喧嘩させたら元も子もありません。
かつての空間を思い起こさせることも、料理の素材。咀嚼し、再解釈し、ほどほどに仕立てた上で、スパイスを加えて仕上げます。
天井からは、セレクトに繊細な配慮を感じさせるペンダントライト。
行儀よく一列に吊り下げられています。
照らされるダイニングテーブルには、大胆な青の装飾が施され…
椅子は、横長のビニール製の畳敷き。
対面には様々なデザインのチェアが4脚。
どの要素もあえて少しずつ崩して喧嘩させることで、ありていな方向性にはどこにも倒さず、しかし独特のバランスで全体としてまとまってしまう。
ひょっとすると、思いのほか地味に感じるかもしれません。
しかし古い建物を扱う上で、感性だけでなく頭をちゃんと使った感のあるアプローチは、何とも面白みがあります。やんちゃに各所を崩しつつ、しかし出過ぎて文脈を壊してしまわないようにと、どれもこれも控えめに留める、その配慮が醸し出すスマートさ。
個人的には、その理屈とセンスのアンサンブルを楽しんでこその住まいではないかと感じます。
ちなみに、壁掛け式のTVは47インチもあります。
TVの対面には、調理台を仕切りにキッチンがあります。
聞けば青の装飾は、海をイメージしているとのこと。龍宮城ですね。
収納は、専有部ごとに木製のカゴがひとつずつ。
決して多めの収納ではないため、調味料が中心になるかもですね。残りの食材は専有部で。
キッチンとダイニングの動線はまずまず。つくった料理を作業台の上に一旦置いて、テーブルまで運べば、熱いものでも運べそうです。
シンクは横に長いため、キャベツを丸ごと洗っても水こぼれがしなさそう。
ガスコンロは3口です。
その上の換気扇は、嬉しい分解掃除ができるタイプ。
鍋やフライパンはガスコンロの下にあり、パパっと取り出せます。
共用の収納はキッチン下にあります。
コンロの対面には、2台の冷蔵庫が設置されています。
冷蔵庫の中央の柱には、写真はありませんが火の神様の御札を貼ったそう。
キッチンの作業台からも、TVを見ることができます。
廊下を挟んで階段横には、洗面台…というより流し場。
水栓以外は当時のまま。
60年ほど前から水が流れ続けたタイルは、もはや川の流れで形が変化した石のようでもあり、その汚れが美しくもあります。
しかし、そんな味わいも使いにくければ意味はなし。湯も出る水栓になっているのが、嬉しいところです。
流し場の下には、専有部ごとに使用できる収納。
メイク落としに歯磨き歯ブラシ。結構入りそうです。
流し場の上には棚。
まだ用途が決まっておらず、ちょこんと植物が鎮座していました。
要望があれば色々工夫して利用していきたいとのことなので、その際は事業者さんまで。
さて、この廊下。
細かい所に、アパート時代の面影が堂々と残っています。
まずは何といっても、58年ものの床。
ともすると、踏む箇所によってはキーと鳴きます。許せる生活音とそうでないものがありますが、この音は割と心地良し。人によっては不快かもしれないため、現地で確認を。
つづいて、柱に取り付けられた、何かのスイッチ。
現在でも機能しており、スイッチを上に入れると、割と大きめにジリリリリとブザーが鳴り響きます。当時は、モールス信号のように鳴らしていたそう。実は同じものが1Fにもあるのですが、1Fと2Fで交信でもしていたのでしょうか。
最後に、見上げると見つかる天窓。
事業者さんのお父様がこのアパートを建てたとき、光の取り込みかたを強く意識したのだそう。天気の良い日は、ポカポカと気持ちが良さそうです。
古いものは残しつつ、リノベーションの際、壁には断熱材を入れたとか。せっかく素敵でも、冬が寒過ぎたら大変です。嬉しいですよね。
2Fは階段脇にトイレが2つ。
ドアと窓に昭和の雰囲気を残しつつ、トイレ自体はウォシュレット付き。
大事です。
さて、1Fの共用部を見るために、階段を降りてみましょう。
目の前には、大きな窓が。
この窓の配置も、なんともユニークだと思います。光があらゆる所から入るつくりって良いですよね。ただし、階段はきしむので現地で確認を。
1Fの廊下。突きあたり右手が玄関です。
正面に何かありますね。
伝言板でした。黒板消しは、学校で使用されているあのタイプ。
玄関脇に設置されているため、伝言を見落とすことはなさそうです。
ランドリールームは階段脇に、洗濯機とガス式乾燥機が2台ずつ。
外干し用の物干しは設置されていないため、乾燥機があるのは嬉しい配慮です。
その隣には、やはりとても現代的なバスルーム。
脱衣室には、専有部ごとに洗面用具が置けそうです。
バスルームはこんな感じで窓付き。
座った目の前に鏡付き。髭剃りやメイク落としが、しやすいです。
階段の正面にはシャワールームもあり、こちらも洗濯機同様、部屋数と考えると、まずまず混み合うことも少なそうです。
最後に、専有部を見ていきましょう。
最初は101号室。
昭和時代のドアノブです。もちろん、ドアもアパート時代からのもの。
心配なのは開閉時の音ですが、思いっきり閉めない限り大きな音は出ないようです。
その先はこんな感じ。
壁は漆喰、床は杉の無垢材。
天井を見上げると船底天井になっています。
なお、照明はリモコン式です。
窓はとても大きめ。
東向きで、日当たりはそこそこでしょうか。
そして古い家の良いところ、収納が大きい!
ただ、上の方にチラリと見える天袋の使い方は、なかなか難しいものですよね。
とりあえず、踏み台があると便利かもしれません。
つづいて103号室。
洗面台付きです。
窓から見える建物は、元寿司屋さん。事業者さんが子どもの頃には、そこで三味線教室が行われており、その音色に耳をすましていたそうで。
当時の情景を思い浮かべると、龍宮城の雰囲気と合わさり、まるで谷崎潤一郎の春琴抄のよう。
つづいて201号室。
各専有部には、旧暦の月の名前が付けられています。
ちなみに、皐月は5月。当時、田植えをはじめるのがこの月だったようで、そのことから早苗月(サナエヅキ)と呼ばれ、それが短くなりサツキと呼ばれるようになったとか。
専有部内は、1Fと同様に洗面台が設置されています。
棚には歯ブラシや歯磨き粉などは置けそうです。下は収納になっているため、タオルや靴箱に入りきらない靴などを入れておくと良いかもしれません。収納も、天袋と2段の押入れ。
201号室のつくりは少し特徴的で、2室が壁で仕切られています。
入口のドアも2つあり、どちらからでも出入りが可能です。
ドアの上は、廊下からの光が淡く入ってくるため、幻想的な雰囲気を楽しめます。
上部から突き出ている不思議なものは、トマソンがかった収納です。
折角のこの配置。収納というよりは、飾り棚として使用してみるのも良いかもしれません。
つづいて窓が南向き、日当たり良好な203号室。
窓はアンティーク風ではなく、アパート時代からのものが現役続行中です。その下には、飾り棚にもなる横に長い収納に床の間。
他の専有部と比較すると収納が少ないですが、窓の脇にある床の間に突っ張り棒を渡せばクローゼットにできそうです。
この飾り棚には、一輪挿しがとても似合いそう。
最後にコの字型の205号室。
洗濯物は全室、アームを収納できる物干し器具を使用します。
収納はコの字の反対側。
収納のドアの先には、またドアが配置されています。といっても現在は出入りできませんが、内覧の際にはぜひ眺めて楽しんでみてください。
窓からは下の紅葉がよく見えます。
品川駅までは京浜急行で約12分。横浜駅までは急行を乗継ぎ約23分。神奈川、東京、どちらに行くのにもまずまずの近さです。
平和島駅付近は、元々は京浜工業地帯だったと言います。すこしずつ町工場が住宅地に置き換わり、現在では閑静な住宅街になったのだとか。
シェアハウス近くには、天然温泉の出る銭湯「天狗湯」もあります。
浴場には横尾忠則制作のポスターが飾られており、購入することもできます。
ひとっ風呂浴びたら、すぐ近くの甘酒稲荷神社で夕涼みなんて休日の過ごし方、グっときます。
秋になれば、事業者さんの幼少期から続いているお祭りもあるとのことで、いよいよ楽しそうです。
一方で、駅周辺にはスーパーやコンビニが充実。生活品に困ることはなさそうです。
運営事業者さんは、シェアハウス名と同じ龍宮城さん。
独特な名前の由来は?と当然気になってお話を聞いてみると、アパートを建てたお父様が、乙姫様のような奥様に龍宮城をプレゼントしたいという思いのもとに、名付けたのだと言います。
建設中に何度も現場に足を運んでは、自らカンナをかけていたというお父様。その気持ちを受け継いで、昭和の雰囲気を凝縮した玉手箱を、現代に届けたかったのだそう。
リノベーションを施す前は、父の愛したアパートが朽ち果てていく様に、「こんな有様なら、いっそこのまま壊してしまおうか」とも悩んだとか。しかし、最後には子供のころから愛してきた住まいを復活させたい想いが勝ったようです。
新旧それぞれの思いが調和した龍宮城。
気になった方はコチラからお問い合わせを。
それにしても、沢山のこだわりを持つ事業者さん。
特に、カメラは露光機を購入し暗室を設けるほどの気の入れよう。
数多くのフィルムカメラのオーナーでもあるということで、興味のある方は事業者さんまでぜひ、お声がけを。
(イイヅカ)
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